「ピアノの練習、してきた?」
とたずねると、
「してきた!」
と、自信をもって答えてくださる生徒さんが、
教室を始めたころから変わらず
一定数はいらっしゃいます。
でも…とても申し訳ないのだけれど、
練習をしてきたとは思えないその弾きっぷりに
「う~ん…してないでしょ?」
と聞くと
「した!」
と。
(なんなんだろう…この出口の見えない押し問答は…?)
と、長年もやもやしていました。
ところが、昨日、レッスンで
このやり取りをしていて
「はっ!」と気づきました。
生徒さんの『練習』したという定義と
私の『練習』したという定義が
そもそもずれていたのです。
「した!」と胸を張って答えてくださった生徒さんのにとっての『練習』は
とりあえずピアノのふたを開けて
弾きさえすれば
それが練習したカウントに。
その練習したという時間は、頭も身体も心もフラットな状態。
私にとってイメージする『練習』は
一人二役の真剣勝負。
先生はいないけれど
自分で先生役と生徒役をしながら…
「ここ、先生に注意されたでしょ?」→「取り出して練習しよう!」
「この細かい音符弾けてないよ?」→「リズムを変えてやってみよう!」
「表現の仕方どう?」→「ほかの人はどんな演奏してるんだろう?YouTube見てみよう!」
頭も身体も心もフル回転。
とはいえ…
遊びも勉強も他の習い事も忙しい生徒さんたちです。
ピアノの練習時間確保すら難しい日もあるはずなので、
一日一か所でも
「今日は、ここを工夫して取り組んでみた」
と胸を張って言える箇所があれば
一週間後のレッスンで、
その7か所は、輝きを放つはずです。
私は、それをすかさず見つけて
お褒めします。
ここまで書いてみて改めて気が付いたのですが、
ピアノの練習って、
いろいろなことが身につくんですね。
これを続けることができたら…
ピアノの演奏はもちろん上達し、
そのおまけとして
すばらしい人間力が培われそうですね。